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help リーダーに追加 RSS 小説 「それぞれの夕暮れ」 24

<<   作成日時 : 2008/07/11 21:43   >>

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 翌日、この日は最近のお互いの近況でも報告しながら久しぶりに会おうと、省吾は友人の勝村正裕と夜にH市で会う約束になっていた。その夕方、鈴美から省吾に電話があった。
「昨日はファックスありがとうございました。それで、今度は私が山口さんに送りたいので、やっぱりファックスの前で待っていてくれますか?」
「わかりました」
省吾はきわめて事務的な口調で答えてから、机の上の書類を二、三枚手にして、いかにもワープロを打ちにいくようにOA室に入った。
 すぐにファクシミリから受信を知らせる音が鳴り、やがて一枚の紙が送られてきた。省吾はすぐにそれを手に取り、目を通した。それには幼小の頃から習字を習っていた鈴美の美しい字で短い文章が書いてあった。
「ファックスありがとうございました。あんなお祖末なものに九十八点という高得点をつけて頂いて恐縮しています。考えてみれば、九十八点などという点数をもらったのは、中学生の頃の国語の試験以来です。話は変わりますが、話と同じように私の予定もコロコロ変わるのですが、今週の土曜日、山口さんのご都合さえよろしければ、そちらに出向こうかと思っています。お返事お待ちしています」
 省吾は読み終わるとその紙を小さく折ってスーツのポケットにしまい、ワープロの電源を入れ、その前に座った。省吾が、二人きりで話したいことがあるのでK市に行くから、いつが都合がよいかを先々週鈴美に尋ねたときには、この週末は、予定が入っている、と言われて先週にしたのだが、その今週の予定が変わったようだった。いずれにしても、また今週末も鈴美に逢えることになった嬉しさで、省吾は自分の顔が自然と綻んでくるのがわかった。適当にキーを叩きながら、ワープロの画面に無意味な文字の羅列をしばらく表示して、少し時間稼ぎをしてから省吾は平静な表情で机に戻った。

(続く)
※ この小説はフィクションであり、実在する人物、団体名等とは一切関係ありません。
 転載・盗用を禁じます。

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